きのこの育て方のご紹介

発生済み菌床からのまいたけ栽培方法

一度まいたけを発生させた菌床から、翌年の秋にもう一度まいたけを発生させる方法です。

発生済み菌床からのまいたけ栽培方法

農薬は使われているの?

きのこ栽培の原木や菌床は雑菌の好物でもあることから、きのこ栽培はある意味雑菌との戦いと言うことができます。殺菌剤は1種類のみ使用法を限って認められています。しかし、私の知る限りでは殺菌剤を使用している生産者は一人もいません。清掃や着衣を清潔にすることなどで雑菌の侵入を防いでいるのです。さらに魚沼きのこの生産者はGAPを行うことにより、異物の混入も防いでいます。

原木栽培、どんな品種を選べばいいの?

原木栽培用きのこの品種はたくさんあります。同じメーカー、同じ作目でも複数の品種があります。きのこの品種は、発生する時期や気温によって、(早生、中生、晩生)、(低温性、中温性、高温性)などの品種に分けられます。私個人の見解ですが、どちらかというと晩生や低温性の品種の方が品質は良いのではないかと思っています。これも個人的なめこ原木栽培での感想ですが、晩生よりは早生の方がトータル収量が多かったような気がします。様々な品種を埴菌すれば、長期間きのこが収穫できて楽しいですね。また、雪国でのなめこ原木栽培では降雪時期とからめて品種を選択する必要があるでしょう。

余談になりますが、これもなめこ原木栽培での個人的な経験ですが、当初はっきりと早生、中生、晩生の順に分かれて発生していたきのこが、年を追う毎に発生時期の差が少なくなっていったと記憶しています。原木への菌まわりの速さが品種によって異なることも影響していたのではないかと考えています。

原木への埴菌は、サクラの花が咲く頃までに

春になるにつれて気温が高くなり、冬の間なりを潜めていたカビ類の活動が再び活発になります。一般的に原木への埴菌は、サクラの花が咲く頃までに終えた方が良いとされています。

きのこの種類と原木の樹種

きのこの種類によって、適する原木の樹種が異なります。広葉樹なら何でも良いというわけにはいきません。また、その逆に針葉樹原木はまったくダメかというとそうではなく、カラマツ原木でクリタケを栽培することが可能です。そういえば野生のクリタケは、スギやアカマツなどの切り株でも発生していますね。

スギ切り株より発生していたクリタケ
スギ切り株より発生していたクリタケ(2003.10.16 朝日村)

やはりホームセンターにありました

ホームセンターには色々なグッズが販売されていました。ローカルな話ですが、販売されていたのは新潟市秋葉区にあるコメリパワー新津店です。コナラ原木、各種きのこ種菌、埴菌用グッズ、しいたけが発生中の完熟原木、森産業さんの菌床培地「きのこ農園シリーズ」等々です。きっと系列店や他のホームセンターにもあるものと思います。

家庭用の菌床栽培では換気が重要ポイント

きのこは人間と同じように呼吸しています。つまり酸素を取り入れ、二酸化炭素を排出しているわけです。家庭用に販売されている菌床培地できのこを栽培する際、湿度保持のために、培地全体をビニール袋で覆う方法がよく行われますが、その際は密閉しないように注意してください。袋内の二酸化炭素が過度に高まると、きのこがひょろ長く成長したり、傘が十分に形成されなかったり、場合によってはきのこがまったく形成されなくなります。また、病気にも弱くなることが予想されます。

空気中の二酸化炭素濃度は350ppm程度で、人間の室内環境の許容限度は1000ppm程度とされています。空気中の酸素濃度は21%程度ですが、密閉室内で酸素の1%が二酸化炭素に変わると二酸化炭素濃度も1%(10,000ppm)上昇することになります。きのこの種類にもよりますが、きのこを健全に発生させるための二酸化炭素濃度の上限値は2~3,000ppm程度です。

そのため、時折意識して袋を開けて換気するのも良いでしょう。

色々なきのこの栽培方法が紹介されていました

現在、たくさんの種類のきのこが販売されていますが、それらがどのようにして栽培されているのかを知っている人は、ごく限られているものと思います。しかし、これを詳しく説明しているホームページがありました。きのこ生産者を対象に作ったホームページだと思いますが、興味のある方は→こちら いつも他力本願ですみません。

原木に白いえのきたけを埴菌すると・・・

以前、純白系品種と言われる真っ白なえのきたけをコナラ原木に埴菌したことがあります。4月に埴菌してその年の秋(何月かは忘れました)に早くも若干の(3~4株)きのこを収穫することができました。株とは言っても、せいぜい一株あたり10本程度のきのこが束生していたにすぎません。色はやはり白く、やや大きめの傘で、5mm程度のやや太めの茎だったように記憶(あやしい)しています。色は白くてもお店で売られているものとはまったく姿・形は異なります。写真が無いのが残念です。それを食べた記憶がまったくありません。たぶん食べたのでしょうが、きっと記憶に残らない程度のものだったということなのでしょう。その後のきのこの発生を期待していたのですが、翌年の発生はさっぱりでした。原木を調べたところ、原木内部への菌まわりが不十分だったように記憶(あやしい)しています。純白系品種は完全におが屑(菌床)栽培用品種であり、木材を分解する能力が劣っているのかもしれません。やはり原木には原木栽培用品種ということがわかった次第です。

原木に植菌する種駒の数は?

1m程度の原木であれば、標準的な埴菌数は、しいたけで原木の末口直径(㎝)の倍・・・例えば末口直径10㎝の場合は20、15㎝の場合は30となります。きのこ菌糸は原木の直径方向よりも樹高方向へ数倍速く伸長しますので、 20の場合は(5×4列)、30の場合は(5×6列)のように埴菌します。しいたけより菌糸伸長の遅いなめこでは、末口直径の3倍が標準です。これより、もっとたくさん埴菌してもかまいませんが、手間とお金が必要となります。

ちなみに、大径原木にしいたけ菌を素早くまわす方法として、通常の倍程度の深さの埴菌孔をあける深植え埴菌や切り込み処理などの方法もあります。

原木の樹皮形質としいたけの発生

しいたけ原木として、コナラやクヌギが用いられていますが、同じ樹種の原木でも個々に樹皮の様相が異なっています。なめらかで、サクラの樹皮のようなその名も「サクラ肌」、全体が細かいしわ状の「チリメン肌」、樹皮の厚い「イワ肌」、樹皮が厚くさらに溝が多い「オニ肌」などに分けられています。また、中間的なものを「普通肌」と分類するようです。「サクラ肌」・「チリメン肌」は若齢原木、「イワ肌」・「オニ肌」は老齢原木に多く見られます。コナラ原木での通常の管理下では、「サクラ肌」は種菌を植えてから2年目と比較的早期にきのこの発生ピークがありますが、樹皮が剥げやすく、樹皮下で圧迫・変形したしいたけが発生するなど、あまり良くない品質のきのこの収穫率が高く、原木がはやくいたんでしまうようです。「チリメン肌」、「イワ肌」、「オニ肌」はきのこの発生ピークは3年目頃となりますが、しっかりした品質のきのこの収穫率が高くなるようです。個人的には「普通肌」~「イワ肌」がいいのではないかと思っています。

きのこだって光が欲しい!

きのこというと、何となく薄暗い所に生えているようなイメージをお持ちではないでしょうか。でもそんなことはありません。きのこ狩りをする際も、あまり込み合った林よりも適度に木漏れ日が入るような明るいところで収穫が多いはずです。菌糸が伸びるだけなら、あまり光は必要ないのかもしれません。でもただの菌糸からいわゆるきのこの姿に変化するためには光が必要なのです。だから原木や菌床は、直射は禁物ですが、湿度を考慮しつついくぶん明るいところで管理するのが良いのです。

ホームセンターを利用しよう!

原木栽培も菌床(おがくず)栽培も一から始めるのは大変!でも、ご近所のホームセンターを覗いてください。そんな悩みを解決してくれるかもしれません。最近はホームセンターできのこ栽培に関する様々なアイテムが販売されています。例えば、原木やきのこ菌の種(種菌—しゅきんorたねきんと言います)を植え付けるための穴を開けるドリルの刃先、それに様々な種類の種菌などです。しいたけ、なめこ、ひらたけ、くりたけなどの種菌が販売されています。それでも面倒!という貴方には、完熟ほだ木(菌糸が十分に広がり、すぐにきのこを発生できる状態の原木)も販売されています。マンション、アパートなどで原木を置く場所がないという貴方は、お風呂場などで手軽に栽培できる完熟の菌床培地を探されてはいかがでしょうか。栽培方法の説明書もきっと置いてあることでしょう。ホームセンターを利用して手軽にきのこ栽培を楽しんではいかがでしょうか。(株)森産業さんなどのきのこ種菌メーカーでも直接販売しています。

もっと本格的に栽培したい

きのこ栽培に適した原木やおがくずの樹種は? 原木はいつ伐採したらいいのか? おがくず培地の殺菌方法は? 環境因子としての気温、湿度、光、風は? 害菌・害虫対策は?・・・・等々 実はきのこ栽培は非常に奥が深~いものなのです。

それでも本格的な栽培に取り組みたいという方には、日本きのこセンター編「図解よくわかるきのこ栽培」--家の光協会発行、大貫敬二著「家庭でできるキノコつくり」、大森清寿、小出博編「キノコ栽培全科」--以上2冊農文協発行などの書籍をおすすめします。趣味のきのこ栽培を紹介しているホームページなども参考にしてください。里山の自然を楽しみながら行っている「趣味の椎茸栽培」というHPを見つけましたが、これは既に趣味の範疇を超えているようです。一度覗いてみてはいかがでしょうか?

原木なめこを収穫する際の注意(原木を持ち上げての収穫は禁物)

なめこ原木は乾燥が苦手なので、通常地面に直接伏せ込みます。やがて、なめこの菌糸は原木の中に食い込んでいきますが、同時に地中にも菌糸を広げていきます。きのこは菌糸に蓄えられた栄養を利用して発生します。なめこは地際からよく発生しますが、採りにくいからといって原木を持ち上げたりすると、原木内の菌糸と地中の菌糸が切断され、やがて地中の菌糸は栄養源を断たれて死滅することになります。そのため、菌糸体量が一気に減少し、翌年の発生が不良となります。収穫しやすくするめ、あらかじめ原木間のスペースを広くとって伏せ込むと良いでしょう。

屋外で栽培しているひらたけのヒダにコブが・ ・ ・ ・ ・

原木栽培のひらたけを収穫したら、ヒダにぶどう状のコブができていた・・・という経験はないでしょうか? それはおそらくヒラタケ白こぶ病です。ナミトモナガキノコバエという虫が運ぶ線虫がひらたけについてできた虫こぶということです。食べても大丈夫とのことですが(気持ち悪いから大丈夫じゃな~いという声も)、商品価値はなくなり他人にプレゼントすることもできなくなります。きのこが発生する直前に寒冷紗などで原木を覆うことにより、防除することができます。

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(南魚沼地域振興局 林業振興課内)

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